2009/03/17

長い日記

あまりにいい天気だったので散歩に出た。
今日は朝からお風呂を洗って洗濯物を干して洗い物をして、こう字面にするとまったくもって普通の日常ですが、優秀なお母さんを持つ私にとってはいろいろ家事をしたほうだったので、いろいろやらなきゃいけないことはあるけどパソコンの中には天気なんてないし、日が暮れてからやっても一緒だと思ってちょっとだけ外に出た。

こんなに純粋に、何かから逃げるようにするのではない散歩はどれくらいぶりだろうと思った。
ただただ天気のいいのが気持ちよくて、背の高いモクレンを見上げて、椿の花にたっぷりと当たる日の光に目を細めて、ストールをはおるだけでひらひらと気持ちよく歩ける暖かさにうっとりとして、どこまでも歩いた。
何も買わなくても、途中でお茶をしなくても、ただ、このきれいな日を歩いていたいと思いながらいつもは通らない道を通った。

世の中には、求めないでいるとより多くのことが得られることがたくさんあるように思う。
今日もそんな日で、いつも行く古本屋さんのたった2軒先に、かわいらしいお店があるのを見つけた。
新しくできたお店かな?と思って入ると、どんぐりみたいな帽子をかぶった、かわいらしい女の人が挨拶をしてくれた。
1年半くらい前からあるらしい。全然気づかなかった。週に1度はかならず古本屋に行くのに。
そのお店は南米やアジアで実際に使われている日用品を扱っているお店で、「機能は劣るかもしれないけれど、忙しい世の中に少しでもやさしいものを取り入れられたらと思って」と、目をまん丸くしながらお店の人は話してくれた。
フリーダカーロの顔の周りが全部スパンコールでふちどられている大きいワッペンがすごくほしかったけれど、高かったので諦める。給付金をもらったら買うかもしれない。
けれど春だから、薄いピンクのハンカチを買った。花の刺繍がしてあって、その花の名前を聞いたけれどもう忘れてしまった。これお母さんにあげようかな、それともだれかにプレゼントしようかな、と思いながら、でも多分自分で使っちゃう。

他にもメキシコの青いホーローのスプーンやら、いろいろ素敵なものがあったんだけれど、中でもいちばん良かったのは「カンガ」という東アフリカの民族布でした。
最近赤ちゃんのおくるみにつかってる若いお母さんとかをよく見るけどああいう大きい布で、スカートにしたり首に巻いたり、何にでも使えちゃいそうな布。
そしてその布がすばらしい最大の特徴は、布いちまいいちまいにメッセージが込められているということ。
調べてみたら「カンガセイイング」というらしいんだけど、(以下参照)



カンガセイイングには、昔からのスワヒリのことわざや、人生の教訓、愛のメッセージなどいろいろな言葉があります。 女性たちは、自分の気持ちや考えをとくに主張したいとき、その気持ちにぴったりのカンガセイイングの書かれたカンガを着て、さりげなく自己主張します。 カンガを腰に巻くと、ちょうどカンガセイイングの部分が足首の後ろにくるため、他人は後ろからその文字を読むことができるというわけです。 現地では、カンガのデザインよりもカンガセイイングの意味の方が、カンガを選ぶときの大きな基準になっています。


どう素敵でしょう?

そして発展途上国の、まだ女性の地位が高くなくて、自由に発言することを許されない国では、女の人たちはキルトや刺繍をするときに、密かに自分の想いをそこに込めて針仕事をして、出来上がった作品は、一つのメッセージになっているという話を思い出した。どこの国でも同じように、誰もが自分の持ち場で精一杯、なにかを言おうとするんだなぁと思った。

わたしがいいな、と思った青と白と黒でバナナのデザインがされている布は、「美徳は廃れない」という言葉がついていた。
あと同じ色合いで、ふちにプラムのような果物がぐるっとデザインされていて、真ん中になぜかラッパが描かれている、すごく欲しいな〜と思ったのには、「あなたが何を言っても、私を動かすことはできない」だった。

これを教えてもらった時、私は絶対、もう言葉抜きでデザインだけじゃこの布を選べないと思ったんだけれど、帰って調べてみたら上の引用文のように、現地ではデザインより意味の方が選ぶ基準になっていると知って、やっぱり、と嬉しくなった。
自分が主張したくないことは、どんなに素敵な色形のものでもまとえないもの。
と同時に、見ただけじゃ何とも思わなかった布に、見透かされたような言葉がついているとどうしても自分のものにしたくなったりした。
素敵だなぁ、あれ。いつか絶対買いたいです。給付金が入ったら。

そのお店の名前はモチレロ
是非行ってみて。やさしいお店の人に和む



そう思ったらさぁ、目を閉じて考え事してないで、目をちゃんと開いて、生きなくちゃ。


白い建物をバックに、木から花が咲いているのか花から木が生えているのかわからないくらいたわわに大きな花をらんらんと咲かせているモクレンの木を見つけた。


帰ってからおにぎりをつくって食べて、いろいろして、お母さんが帰ってくると夕飯の支度を一緒にした。
今日はハンバーグだったんです
最近夕飯はお母さんと一緒に作ります。自分で作ったご飯はなぜか残せません。意地かな。

2 件のコメント:

  1. もうとっくに知ってると思ってたよ。
    今日も昨日も、ひとり暮らしノートを描いていて、
    今日はカトラリーについてのページを書いたけど、
    それを描いている時に食器を買う店の候補で思い浮かべていたよ。スプーン良いよね。

    カトラリーは揃えずにバラバラにしたい、というときに思い出したのだよ。

    最初、床にビビった。

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  2. あららら
    床に気づかずにしゃがみ込んでロングスカートをずるずるさせながら移動していた。
    あららららら

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