2008/12/09

空を衣装に、大地を枕に

今月の暮らしの手帖の”暮らしの風景”というページが、散歩を通じて色んなことを語る人の話だったんだけど、よく読んだらそれがzuccaのデザイナーの人だった。
小野塚秋良さんという人。
これがもしデザイン雑誌やファッション雑誌だったら、デザイナーの名前よりブランド名が大きく印刷されて、『zuccaのヒットの秘密に迫る』とかそういう外側からのアプローチばっかりだと思うんだけど、
この特集はひとりの人をものすごく俯瞰して、まるでおとぎ話のように、すごく未来から話すように、特集されているのが印象的で凄く良かった。

どんなに今華やかな人でも、時間が過ぎたら、『あるところにひとりの服屋さんがおりました。』になるんだよ。
そうしたときに、ブランド名が通用しなくても、面白い話になるように、わたしは生きたいと思う。

というか今まさに、暮らしの手帖の記事では『小野塚さんは「zucca」というブランドのコレクションを20年間、パリで発表しているファッション・デザイナーだ。』
とこうなっているわけです。
「zucca」というブランド。だよ。あの有名なzuccaが共通認識なんかではないという澄んだ目が嬉しい。


ブランド哲学もいいけれど、でも毎回同じことを言わされるデザイナーも可哀相だし、私たちももうこれ以上他人の成功話を聞いたって他の人と同じことして成功できる時代じゃないんだから、もっと内側からの声にスポットを当てた記事をたくさん書いて欲しいなぁと思う。


以前編集をしている人と飲んだとき、本を出そうとする時、その決める基準は何なんですか?と聞いたら、”売れている『人』だね。”といっていた。
そういう現状を変えたいから、その人はフリーでやっていると言っていた。


これからは、一人一人との、一対一での対話が始まるんじゃないだろうか。最大公約数の情報はもう、誰にも届かなくなっているといったら言いすぎかな?
そういうことを広告計画でならっているけど。



この記事に小野塚さんの顔は一枚も載っていない。後姿や、靴だけだ。

Q 「上質さ」とはどんなものでしょうか?
A 静けさ。




暮らしの手帖賛歌はまだまだ書きたいんだけど、これからキセルを聞きながら甘いコーヒーを飲みに行きます。

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